Item No.1 Sagan Vienna

今回から、1つのアイテムにフィーチャーした新シリーズの配信を始めたい。私が展示会やショーを取材した際に印象的だったアイテムを、1つのタイトルで1アイテム取り上げ、そのアイテムについて語っていく内容になる。数は多くないが、私が実際に購入して使用しているアイテムについても紹介したい。

また、取り上げるアイテムはファッションアイテムに限らず、私が実際に読んで面白いと思ったファッション書籍、ファッション誌やその記事、ウェブメディアの記事も紹介したい。私はメディアから依頼されて原稿を書く際、編集者から多くの資料を借りるケースもあるのだが、そこで面白いファッションの書籍や記事と出会うことが多い。それらの実体験に基づいたファッションの読み物も取り上げたいと思う。

配信(公開)頻度は定期というわけではなく、2週連続で配信する時もあれば、1ヶ月以上の期間が空いて配信といった具合に、不定期になっていくだろう。文末にはテーマのアイテムの詳細が確認できる公式ブランドサイトをリンクする。ここでは写真をアップすることはないので、デザインや色を詳しく見たいという時はブランドサイトをぜひ訪れて欲しい。

それでは第1回目を始めていこう。今回のアイテムは、私が実際に購入して愛用しているウィーンブランドのトートバッグだ。

【Item No.1 「Sagan Vienna」PAZAR TOTE XL CASTAGNA】

「Sagan Vienna(サガン ヴィエンナ)」というブランドの名前を知らなくても、今なら「PAZAR BOOK TOTE」のデザインを目にした方はいるでのはないか。トートバッグの外側に本が収まるポケットが付き、ポケットに入れた本の上部が顔を覗かせる愛らしいデザインのバッグで、今やブランドを代表するシグネチャーアイテムへと成長した。サイズは幅40cm、高さ36cm、マチ幅11cmと、A4やノートパソコンが収納できて持ち運びもしやすいトートバッグである。

だが、今回紹介するのはPAZAR BOOK TOTEよりも、サイズがビッグサイズの「PAZAR TOTE XL CASTAGNA」という名のバッグだ。

サイズは幅62cm、高さ38cm、マチ幅26cmと、スタンダードなトートバッグと比べて、かなりの収納力を秘めた大きさである。形は非常にシンプルだ。ワイドなフォルムで、表面に装飾性は皆無のシンプルデザイン。ただし、ミニマリズムと称することはできない。

バッグの上部には、2つの持ち手が取り付けられている。一つは肩に掛けるストラップ型の持ち手で、トートバッグでは標準的なディテールだ。もう一つの持ち手である、レザー製のハンドルに特徴がある。ハンドルは手編みで作られており、クラフトな香りを漂わせる。また、レザーハンドルは持ち手としての機能を持つが、バッグの開口部を塞ぐ留め具のディテールとしての役割も果たす。このレザーハンドルは、先述のPAZAR BOOK TOTEに取り付けられ、ブランドを象徴するディテールになっている。

外観のデザイン製だけでなく、シンプルなアイデアで機能性を付加するのもサガン ヴィエンナの特徴と言えるだろう。

私が愛用するPAZAR TOTE XLの素材は、ベジタブルタンニンなめしのスペイン産ゴートレザーを使用している。非常に柔らかな素材感で、使うほどに馴染み、表面のしぼはスムースレザーにはない味わい深い表情がいい。バッグの内側は布製の裏地が貼られており、バッグの中に物を入れてもレザー素材を傷つけることはない。

内側にはジップ付きの内ポケットがついている。私はトートバッグを選ぶ際、内ポケットがあるかどうかが重要なポイントになっている。名刺入れや財布、スマートフォンなど、バッグにしまいたいが取り出す頻度も高いアイテムを収納するのに、内ポケットほどありがたい存在はない。

バッグの色はCASTAGNA(BROWN)。色を選ぶ際、ブラック(素材はゴートレザーではなかった記憶)かブラウンかで非常に悩んだ。いつもならブラックを選んでいただろう。ベーシックなブラックなら、様々なアイテムやスタイルにも合わせやすく、応用が効く。ただ、当時の私はブラックのアイテムを選ぶことに、少々飽きていた。ブラックとは異なる色で、だけどブラックと同様に汎用性がある。そんな色としてブラウンが見事にはまった。

初めて見たときは、サイズがかなり大きい印象を受けて二の足を踏んだ。しかし、身長181cmの私が実際に肩に掛けて鏡で確認してみると、思った以上にサイズ感が自分に馴染んでいた。むしろ、これまで使用してきた標準的サイズのトートバッグよりも、自分には合っている気がした。

バッグの作りそのものはカジュアルで、どちらかと言えば大きな袋に近い印象を受ける。だが、手編みのレザーハンドル、しぼ感とブラウンが特徴のゴートレザー、布製の裏地、ジップ付きの内ポケットと、要所で締めるディテールがトートバッグに上品な香りをささやかに添える。

オーストリアのウィーンを拠点に活動するサガン ヴィエンナは、一見するとミニマルなデザインに思える。ホワイト、ブラック、オリーブなどベーシックカラーを用いて、シンプルな形状のバッグは、ミニマルと称したくなっても不思議ではない。だが、サガン ヴィエンナは、手編みのレザーハンドル、籐の編みで制作されたボディなど、伝統の技法をデザインに取り込み、王道のミニマリズムとは一線を画す。

トラディショナルな着想は、アイテムそのものにも言える。「MISER BAG」というリボン状のバッグは、18世紀半ばから20世紀初頭にかけて、イギリスやフランス18世紀ごろまでによく使われていた小銭入れから発想された。

ミニマルテイストに、トラディショナルな発想や技術が盛り込まれたバッグブランドは、シックでアーバン。それがサガン ヴィエンナである。

Sagan Vienna 「PAZAR TOTE XL CASTAGNA」
*現在はSOLD OUT

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