Item No.2 ‎Biéde

これまで購入してきたバッグのほとんどが、トートバッグだった。肩に掛けるだけでいい持ち運びやすさ、バッグの中に入れた財布やスマートフォンは取り出しやすく、基本的には長方形のシンプルな形状が、様々なスタイルにも合わせやすい点も気に入っている。しかし、トートバッグは素材と仕様によって、テーラードジャケットなどのドレス要素の強いスタイルにはマッチしないことがあるのも確か。

昨年10月、2023SSシーズンの展示会をまわっていた時、非常に魅力を感じたトートバッグと出会った。アイテムシリーズ第2回は、「ビエダ(Biéde)」のトートバッグをピックアップしたい。

【Item No.2「Biéde 」ELEMENT 03《SCORE》YELLOW EDGE】

まず簡単ではあるが、ビエダというブランドの概要について触れよう。

東京を拠点にするブランドで、デビューコレクションは2020年9月に発表された。多国籍のメンバーがクリエイティブチームを担当し、メンバーについては国籍、性別、年齢などすべてが非公開。ブランドのマネジメントを、「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」出身の小石祐介が代表を務める「クラインシュタイン(Kleinstein)」が行なっている。

コレクションの発表は、年2回というファッション界の慣習からは外れ、年1回、SSシーズンの発表時期に合わせて発表している。また、現在はバッグがメインとなっているが、決してバッグブランドというわけではなく、今後は別のプロダクトを手がける構想も持っている。

ブランド名の「Biéde」とは、中国語で「別の」を意味する「別的(bié de)」、オランダ語で「提供する」を意味する「bieden」に由来している。ビエダは、新しい別の考え方によって、これまでにない新しい別のプロダクトを提案する姿勢を掲げている。

私がビエダの展示会を初めて訪れたのは、一昨年の2021年10月だった。ビエダのバッグには妖艶な色気が漂う。バッグの作りは硬質で、レザーの質感もハード。バッグの佇まいから感じたのは、彫刻的立体感。カジュアルバッグが全盛の時代にあって、ハードなエレガンスを提案するデザインが印象的だった。

そして、昨年10月に訪れた展示会でも、色気が妖しく香るビエダのハードエレガンスは健在だった。中でも最も印象に残ったバッグが、今回ピックアップした「ELEMENT 03《SCORE》YELLOW EDGE」と名付けられたトートバッグだ。

前回取り上げた「サガン ヴィエンナ(Sagan Viennna)」が、カジュアルな袋状のバッグを伝統技術と高品質のレザーでモード化したトートバッグなら、ビエダのトートバッグは硬質感を探求したハードなモードバッグと言え、対極のデザインになる。

柔らかいバッグに慣れていた私にとって、ビエダの硬さは新鮮だった。手に持っていると、背筋が伸びていくような緊張感が感じられてきた。ビエダのトートバッグで目を惹くのは、イエローのエッジだ。一目で気づく鮮やかなイエローがバッグの縁を彩っている。

エッジのカラーには2種類あって、もう一つはブラックだった。つまりカラーバリエーションは、本体カラー:ブラック×エッジカラー:イエローと、本体カラー:ブラック×エッジカラー:ブラックの2種類ということになる。

私が実際にトートバッグを手に持って鏡の前に立った時、圧倒的にイエローエッジのデザインに惹かれた。ハードでモードなブラックトートに、ほんのりと浮かび上がるイエローのエッジが繊細で美しい。この儚げなアクセントが、トートバッグの持つ硬質なエレガンスをさらに磨き上げていた。

内側の作りも申し分ない。ファスナー付きのポケットが付いており、合皮のライニングが取り付けられ、非常に丁寧だ。丁寧と言えば、縫製のクオリティが非常に高くて驚いた。縫い目の綺麗さ、ステッチの運針も規則正しく、前述のイエローエッジにも乱れた点は見当たらない。生産は、ラグジュアリーブランドのバッグ生産を手がける中国の工場が行なっており、まさに惚れ惚れするハイクオリティ。

ビエダのトートバッグには夜が似合う。バッグを肩から下ろし、手に持って街灯の下で佇む。その時、夜を照らす灯が浮かび上がらせる鮮やかなイエローエッジは、山の峰と峰を続く稜線のようにきっと美しい。ビエダの色気は、暗闇の中に潜む。

Biéde「ELEMENT 03《SCORE》YELLOW EDGE」

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