ロンドンで経験を積んだ坂井俊太が2023年に設立した「パラトレイト(Paratrait)」が、初のランウェイショーを東京・TODA BUILDINGで開催した。楕円形に配置された座席に座り、開始を待っていると、突如フロア中央に天井から一筋の赤い光が降り注ぐ。この光は、芥川龍之介の短編小説『蜘蛛の糸』をモチーフにしたものだった。
『蜘蛛の糸』は、地獄に落ちた悪人・犍陀多(カンダタ)が、極楽から垂れた蜘蛛の糸を頼りに脱出を試みるが、独り占めしようとした結果、お釈迦さまが糸が切ってしまい、再び奈落へと落ちてしまう物語。100年以上前の作品から着想を得た赤い光だが、会場の天井から床へと真っ直ぐ伸びる様子は『攻殻機動隊』のような近未来的でダークだった。
目の前を通り過ぎる服から伝わるのは圧力。「モダン」や「アーバン」といった洗練された言葉は、「パラトレイト」の服にはそぐわない。しかし、原始的な服かと問われれば、それも違う。
ウルトラスエードを裂いたテープを刺し子のような表情に作ったジャカードは、編みながら織られた特殊な構造。細いモノフィラメントナイロンと、綿の落ち綿をプレーティング編みした素材にはオパール加工を施し、シグネチャーアイテムであるレインボーノイズデニムは、青や赤の糸をインディゴに染色し、色落ちさせることで虹のような色味が現れる仕組み。「パラトレイト」は、ジーンズ、ワークジャケット、ステンカラーコートといった現代的な衣服を、テクニカルな手法で仕立てている。
思い出されてきたのは、Netflixのオリジナルアニメ『サイバーパンク: エッジランナーズ』。テクノロジーで身体を改造し、不幸と不運を背負いながらアウトローとして生き抜く少年と仲間の物語だ。舞台は未来であり、数々の最新技術も登場するが、全体にはアンダーグラウンドな空気が色濃く漂う。登場人物たちの服装は坂井の提唱するデザインとスタイルとは異なるが、主人公たちが纏う暗さと圧力が「パラトレイト」の世界と重なって見えた。
土臭く、泥臭いトラディショナルな服が、未来のあり方を問いかける。
























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Official Website:paratrait.com
Instagram:@paratrait