NYの新たなるスター、ピーター・ドゥ

AFFECTUS No.100

エディ・スリマンによるセリーヌのデビューコレクションが発表され、明らかになったのはフィービーロスの大きさ。いったいフィービーセリーヌの穴を、どのブランドが埋めるのだろうか。セリーヌでフィービーの下で経験を積んだキャリアから注目が集まっているブランドがピーター・ドゥ。活動の拠点はニューヨークだ。ブランドのスタートは2019SSで、とびっきりの新しさを備えたニューカマー。

ブランドのInstagramアカウントがあることを知り(今や当たり前だが)、僕は早速チェックしてみた。ブランドの本格的スタートが最近ということもあり、ポスト数も少ないだろうと思っていたら、とんでもなかった。2018年10月13日現在、総ポスト数1,610件。多すぎだ。なんで、ブランド始まって間もないのに、こんなに多いのだ。

そう思ったが、僕はすべてのポストを見てみた。ざっと流し見ではあるが。すると、ピーター・ドゥのデザイン傾向を感じられてきた。

フィービーの下でキャリアを積んだが、そのデザインスタイルは異なる。ベースはカッティングに重きを置く印象。シルエットを見ていると、セリーヌの2016RESORTと2017RESORTに通じるものを感じる。2014年から2年間セリーヌに在籍していたようなので、コレクションの制作時期を考えると、時期的に見てピーター・ドゥが関わっていたのではないかと思える。

色は黒と白を多用して、シェイプの強さとダイナミックで力強いラインが印象的なシルエット。そのシルエットをベースに、ピーター・ドゥのもう一つの特徴が組み合わさっていく。それは“Experiment”だ。実験的要素が強く濃く滲む、力強いシルエットを誇るシンプルな服。それが僕の見たピーター・ドゥだった。

Instagramにポストされた写真を見ていると、僕はフセイン・チャラヤンの名前が浮かんできた。チャラヤンと同種の“Experiment”を僕は感じた。ただし、チャラヤンよりもシンプルにポイントを絞り実験を行っており、ワードローブにも落とし込めて、日常で着られるリアルが作られている。

フィービーとの関連性が強いが、ピーター・ドゥはフィービーロスを埋める存在のブランドではない。全く異なるカテゴリーのブランドだ。むしろ、先ごろニューヨークコレクションで登場した「ニューアヴァンギャルド」のカテゴリーに属するタイプのデザインと言っていい。

シンプルさの中にアヴァンギャルドに通じる不可思議と違和感を配置する。それに僕は惹きつけられた。

情報の拡散のスピード化は、ファッションデザインに同質化現象を引き起こした。それは先端的デザインに挑戦するモードも例外ではない。けれど、やはりモードは「新しさ」へ挑戦してこそ価値が出てくる。

ピーター・ドゥの現実世界の中で行う実験的行為を配置したマスキュリンなシンプルなウェアは、挑戦精神を感じる。アヴァンギャルドは、抽象的で複雑な造形の専売特許ではない。シンプルなアヴァンギャルドがあってもいいはずだ。

ピーター・ドゥはどのようなデザインをこれから見せるのか。僕の興味はそこに尽きる。次シーズンも注目していきたい。ニューヨークから現れた新しいスターの動向を。

〈了〉

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