ロサンゼルス発のスタウドは未来へ踏み出す

AFFECTUS No.436

2015年、アメリカのロサンゼルスで設立された「スタウド(Staud)」。サラ・シュタウディンガー(Sarah Staudinger)とジョージ・オーガスト(George Augusto)の二人が始めたウィメンズブランドは、ビーチライフを想像させ、ヴィンテージライクでもあるカジュアルルックで瞬く間に人気となり、アレクサ・チャン(Alexa Chung)といったセレブにも注目され、デビュー早々に注目ブランドへと成長する。現在、Instagram公式アカウントのフォロワー数は、約62万人に達するほどだ。

コレクションは、ロサンゼルスファッション  がベースとなり、クールなニューヨークファッションとはまさに対極。古着屋に眠っていたアメリカのカジュアルウェアが、スレンダーシルエットと明るい色使いで、開放的に生まれ変わったウィメンズウェアだと言えよう。ただ、開放的と言っても妖艶な色気をふりまく、大胆に肌を見せるファッションではなく、とても健康的な印象の肌の見せ方だ。スタウドを着て街を歩けば、彼女の周りにはきっと夏の空気がスポーティに漂う。

そんなファッショナブルなビーチ&カジュアルウェアが、先日発表された2024Resortコレクションで驚きの変化を見せた。目についたのは、メタリックシルバーの素材。近未来感にあふれる光沢素材が、スカートやロングドレス、パンツに使用され、非常にクールな佇まいへ仕上がっている。

また、スタイルそのものにも変化を確認した。冒頭でスタウドのスタイルは、モダンなニューヨークスタイルとは対極だと表したが、2024Resortコレクションではジャケット&パンツ、シャツ&パンツ、シャツ&ネクタイ、タンクトップ&パンツと、それまでのスタウドでは見られなかったシティスタイルが披露されていたのだ。

色展開もホワイト、エクリュ、グレー、ブラウンと非常にシックなカラーばかり。アクセントに使われた、レッド、オレンジ、グリーン、パープルはスタウドらしい選択だが、そららの明るい色は淡いトーンで挟み込まれるケースが多く、これまでのコレクションとは一線を画す。

得意のスレンダーシルエットはドレスでキープされているが、パンツはワイドシルエットで力強い。ジャケットとコートもオーバサイズで作られ、ハードなレザーブルゾンも発表され、マニッシュテイストが出現していた。

ブランドの世界観を作り上げていた特徴を、残像的に残した大胆なモデルチェンジ。スタウドが新しい一歩を踏み出した。これまでのスタウドは、プライベートスタイルのファッションという印象だった。だが、今回の2024Resortコレクションはビジネスシーンや、フォーマルシーンに着用できるスタイルとアイテムを発表し、以前までのコレクションではカバーできていなかった領域に進出し、ブランドのライフスタイルを広げた。

そして、デザインはフューチャリスティックな世界観を投入し、ブランドイメージに変化をもたらす。現在、スタウドのInstgramに投稿されている写真と、2024Resortコレクションのルックを見比べてみれば、その違いは一目瞭然だろう。

だが、刷新というほどの変化を私は感じなかった。先ほど述べた通り、スタウドのDNAである二つの要素、スレンダーシルエットと明るい色展開をアクセントとして使用することで、ブランドの輪郭は残している。

それだけではない。2024Resortコレクションではモード文脈的な新しさも感じた。このコレクションで目立っていたのは、縦に長いロングシルエットだ。コートとドレスはロング丈が多く、スタイリングでも上半身はタンクトップもしくはシャツを着用し、ボトムはワイドパンツという、縦の長さを強調するシルエットが散見された。それが得意のスレンダーな形で作られているため、いっそう縦の長さが強調されている。

ロングシルエットは、伝統的にクラシックに振れがちだ。だが、スタウドはシティスタイルとメタリックシルバー素材を使用することで、未来感あるアーンバンファッションを完成させていた。これは、モードの文脈に新しさを刻むデザインだと言える。

ビジネス的うまさとコンテクスト的うまさ、二つのうまさを実現したのが今コレクションだった。進化はブランドに必須だが、スタウドは非常に聡明なアプローチで成功したと言えよう。もちろん、本当の成功はビジネスで成果が出た時だが、デザイン手法という点では成功と言って差し支えない。スタウドのニュースタイルが、新しい顧客を惹きつけることを願う。この煌めく未来のアーバンファッションが、短期間で消えてしまうのはあまりに惜しいから。

〈了〉

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