展示会レポート Steaf 2025SS

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7月にピークを迎えた2025SSシーズンの展示会は、8月に入っても終わらない。本日は、先シーズンに初めて伺った「スティーフ(Steaf)」2025SS展示会に伺う。会場に向かう途中、キャットストリートを久しぶりに歩く。初めて歩いたのはまだぎりぎり10代のころだが、その頃から25年以上経っているというのに、風景があまり変わっていないように思う。もちろん、新しい建物に建て替えられたりして、厳密にいえば街並みは変わっているのだが、用途地域的に駅前のような高層ビルが建てられることはないため、昔と変わらず低い建築が並ぶ風景にはやはり懐かしさを覚える。

感慨に耽りながら展示会場に入ると、ラックに掛かった最新コレクションがすぐさま目に飛び込む。右の壁には今回の最新ルックが整然と貼られていた。

前回、「スティーフ」の展示会を訪れたくなった理由がスタイルだった。惹きつけられたスタイルの魅力が、2025SSコレクションでも変わらずに発揮されている。デザイナー影山惇のデザインするメンズウェアにはいい意味で癖があり、綺麗で上品というファッションとは対極のムードである。

デッドストックの生地を使ったテーラードジャケットは、王道のクラシックジャケットとは全くもって異なるディテールを見せ、ハンティングジャケットを彷彿させる野生味を漂わせていた。「スティーフ」は半袖のニットウェアにも癖をデザインする。

クルーネックのショートスリーブは、襟元にボタンで取り外し可能のスカーフがセットされ、シンプルなアイテムに装いのアクセントを加える。

2025SSコレクションで目を惹いたのは、フォトグラファー吉松伸太郎とのコラボレーションだ。今回の展示会の案内が送られた時、真っ先に目にしたのがこのプリント生地だった。最初は抽象絵画をプリントしたものに見えたのだが、吉松が撮影した自然の写真を生地にプリントしたものだった。吉松は自然の力強さを捉え、そこから絵画的美しさを引き出す。

ダイナミックなランドスケープが「スティーフ」の個性とマッチした開襟シャツは、これ以上ないぐらいストリートな仕上がり。襟もよく見ると通常の形とは異なっており、「スティーフ」はベーシックな服とは一線を画す。このフォトプリントはパンツにも展開され、スカーフニットとスタイリングされることで、セクシーなサマールックを完成させていた。

個人的に好みだったアイテムは、イルカをプリントしたトップス。これはデザイナーの影山自ら製作したグラフィックになる。イルカが可愛らしく表現されるのではなく、力強く逞しく表現されたグラフィックが、トップスの色味とギャップを生んでいて惹かれた。

四つの編地を一続きに編んだカーディガンも存在感があった。編地からは古着的ノスタルジックを感じるが、色気も立ち上がっているニットウェアである。

「スティーフ」の服はシンプルさが魅力の服とは異なる。形そのものはシンプルではあるが、ディテールと素材にアクセントを濃厚に加える。しかし、グランジのように破壊的かというと違う。ルックに写るモデルは、癖の強い素材・ディテールのアイテムを上品に綺麗に着こなしている。影山はスタイリストの出口大輔と共に「スティーフ」に取り組んでおり、コレクションのスタイリングは出口が手がけている。

ワイルドなエレガンスを、クリーンに着こなす。個性的表情のベーシックウェアを、上品に装う。「スティーフ」はファッションの境界を攻める。

Instagram:@steaf_official

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