ミニマルな民族服のガブリエラ コール ガーメンツ

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AFFECTUS No.551

「スーパーエーマーケット(Super A Market)」、「ビオトープ(Biotop)」、「メイデンズショップ(Maidens Shop)」など日本国内の人気セレクトショップで取り扱われ、注目度が高まっているスペインブランドが「ガブリエラ コール ガーメンツ(Gabriela Coll Garments)」だ。

究極のシンプルを形にしたミニマルウェアは、ウールやリネンといった素材の生々しさを一切損なうことなく表現する。アームホールや裾は断ち切られ、切りっぱなしの繊維が儚げ。簡素にして力強い服は、ある種のセレモニーのために準備された服のように厳粛な雰囲気を漂わせる。

バルセロナを拠点にするブランドを立ち上げたデザイナーの名は、ガブリエラ・コール。彼女が手掛けるシグネチャーブランドはコレクションを「シリーズ」と名づけ、ブランドサイトを確認する限り、現在はNo.15まで発表している。

いったいどのようなキャリアを歩んできたデザイナーなのか気になり、情報を調べたのだが、海外の記事で発見したインタビュー記事は2015年に公開された一つのみ(Interview with Gabriela Coll)。日本では取り扱うセレクトショップで、コールのインタビューがいくつか公開されていたが(文末に明記)、コールは自身の背景について詳細には語っておらずミステリアスだった。

断片的な情報から判明した主なことと言えば、コールがブランドを設立した時期は先述の海外インタビュー記事から察するに2015年であること。他には、ファインアートを学んでいた、生産はブランドのアトリエと地元バルセロナの工場で行う、ということだった。もちろん、これから「ガブリエラ コール ガーメンツ」に関する情報が増えていくかもしれないが、現時点で明らかになっている情報の少なさ、インタビュー時に自身の背景について詳細を語らない姿勢からは「服を見て感じて欲しい」というメッセージを感じてしまう。

ここからは肝心の服について言及していこう。

イタリアの高級生地メーカー「ロロ ピアーナ(Lolo Piana)」のウールを使用したノースリーブワンピースは、潔いまでのミニマルフォルム。深くえぐれたVネックは本来ならセクシーと言うべきなのだろうが、冷徹なまでにシャープなカッティングが色気を遮断。デコラティブな要素を一切排除したロング&リーンシルエットは、服からノイズを取り除く。シャツの襟端と裾は断ち切られ、完璧に綺麗な縫製を求められるジャケットも切りっぱなし。石から削られて完成した彫刻を彷彿させる、荒々しく直線的な造形にナチュラルという形容が浮かぶ。

一般的にナチュラルな服と聞けば、柔らかで優しく朗らかなファッションだと思われるが、「ガブリエラ コール ガーメンツ」に用いるナチュラルは、自然の力強さ・逞しさを指す。バルセロナで作られる服は、ミニマリズムであり民族服的。情報量が極限までに削られたジャケットやワンピースは、まさにミニマリズムなのだが、生地の特徴をありのままに魅せる素材と野生的な縫製仕様は、民族服に通じるものがある。

思い出されてきたのは、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)が初期に作っていた服だ。ただし、マルタンの服から実験性を取り除き、日常にずっと寄り添った服、存在感の主張は極限まで控え、清廉な空気を発する服である。

ストイックなジャケットに袖を通して街中を歩く姿は、きっと魅惑的だろう。「ガブリエラ コール ガーメンツ」は、華やかに飾り立てるファッションに背を向け、自身の美学を探究していく。

〈了〉

*参考
BIOTOP 「PEOPLE No.43GABRIELA COLL」
MAIDENS SHOP WOMEN 「Designer Interview【GABRIELA COLL GARMENTS】」
Gabriela Coll Garments Brand Site

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