Nomàt 2024AW Collection

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*コレクションテーマのライティングをAFFECTUSが担当。詳細はPROJECTSで公開

野村仁美が設立した「ノマット(Nomàt)」はプリミティブな力強さの中に、フェミニンな香りがひっそりと漂う。女子美術大学を卒業した野村は、「ヨウジヤマモト(Yohi Yamamoto)」のパタンナーとして経験を積み、2020SSシーズンに自身のブランドをスタートさせた。「ノマット」の魅力はダイナミックなフォルムにある。

石から削り出した彫刻を彷彿させる直線的なカッティングが冴え、大きな布が身体を覆うようにボリューミーでダイナミック。決して華やかではないし、ましてや甘さは皆無。「ノマット」は服を着る人の中に潜む原始的な荒々しさと力強さを、服を通して引き出す。

2024AWコレクションはアイテムも素材もスタンダードを基盤にしているが、標準をたどらないのが「ノマット」。特にその特徴が現れたのはオリジナルのファブリックだ。アーガイル柄ニットは、生地の裏面からニードルパンチで叩きつけダイヤ模様を浮かび上がらせ、ジーンズは白いハンドペイントを施し、時間を重ねていくことで表情を変えていく。

「ノマット」の素材作りは、上質な原料を上質な生地に作る手法とは異なる。生地が本来持つ特徴を、様々なテクニックであえて消していく。それでも生地に消えることなく残った個性が、この2025AWコレクション「After Standard」のオリジナル素材である。

だが、強さを訴えるだけのコレクションではない。ミリタリーウェアやワークウェアのテイスト、今コレクションではチェック生地が何度も使用されているように、ファッションの伝統も重んじる。ルックにそこはかとなく漂う柔らかさは、そんな服作りの姿勢が要因だろうし、フェミニンを匂わす要因でもあるのだろう。

ブランド名は「見えないけれど、この世に存在する何か。地図には無い架空の場所」を意味する造語。ルックからは無国籍で、性別も分けないスタイルが見て取れた。「ノマット」はファッションのスタンダードを別の文脈に書き換え、自由に大胆に服を着ることを楽しみたい人たちの背中を後押しする。

Official Website:noma-t.com
Instagram:@nomat_official

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