「千夜一夜物語（アラビアンナイト）」の1篇「アリババと40人」に登場する呪文「開けゴマ（Open Sesame）」が、ブランド名の由来となっている「オープンセサミクラブ（Opne Sesame Club）」。不思議な語感の呪文をアリババが唱えれば扉が開いて宝物が現れるけれども、「オープンセサミクラブ」のニットに袖を通せば、ファッションの宝物＝ノスタルジーとエレガンスの両方が手に入る。
だが、エレガンスと言っても、このウィメンズブランドが提供する美しさは従来のエレガンスとは少々異なる。
ブランドの象徴であるdurianシリーズのニットは、独特な形状の果物がそのまま編み地になったように表面を凹凸が埋め尽くし、肌を透かすシアーな素材感で作られたノースリーブトップス、カーディガン、ロングスカートはスレンダーでありコンサバティブ。女性伝統のスタイルは、個性的な編み地によって新しい表情を獲得した。
2025SSコレクションは、他にもオリジナリティの高い編み地を使用したアイテムを発表。マルチカラーのラメ糸を花柄に編み立てたTシャツとパンツ、Z撚りの糸のみを使用して斜行する特性を用いて、凹凸ある組織を作り出したカーディガンとトップス、リンクス編みによる収縮でスモッキングを思い起こすキャミソールやミニスカート、ハーフスリーブトップスは、どのアイテムも見慣れているはずのベーシックだが、通常のベーシックとは服の持つムードが大きく異なっていた。
コレクションで多用される黒や白、ピンクやブルーといった色使いは、ファッション王道のカラーで「クール」や「フェミニン」といった感覚を呼び起こす。だが、アグリーなかわいさに満ちた表情のニットはファッション伝統の美意識からは外れたもの。モデルが最新コレクションを着用した姿は可愛いともキッチュとも言え、コンサバと呼びたくなるがモードでもある。「オープンセサミクラブ」が新しいファッションへの扉を開ける。未知の感覚のニットドレスが、気分を上げていく。
Official Website：open-sesame-club.com
Instagram：@open_sesame_club