2026年冬のアウターは、マメ クロゴウチのロングコート

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AFFECTUS No.613

日本気象協会によると、2024年の冬は記録的な暖冬だったが、2025年の冬は寒さが厳しい日が多かった。実際、今年の冬は特に冷え込み、2月は耐え難いほど。3月に入っても寒さが続いていたが、ようやく3月下旬になって春の気配を感じ始めた。しかし、昨日の最高気温は8℃、そして今日の最高気温は12℃。再び訪れた、4月とは思えない寒さに震える。

暖冬の影響か、ロングコートの需要が低下しているように見えたが、それでも寒い日には膝下まで包み込んでくれる一着が恋しくなる。私自身も今冬は「ノノット(Nonnotte)」のロングコートを愛用し、この着丈の長いアウターの価値と重要性を再認識した。

そこで2025AWシーズンのコレクションから、早くも来年の2026年冬に魅力的なロングコートを探してみることにした。パリファッションウィークをチェックしていると、「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」のロングコートに目を奪われる。発表された38ルックの中でロングコートは4ルックのみと少ないが、それでも強く惹かれる何かがあった。その理由をじっくり考えてみたい。

ドレスに勝るとも劣らない優雅なテーラードコート

「ユニクロ(Uniqlo)」とのコラボで話題になったブラやショーツなどのインナーウェア、ブランドの代名詞とも言えるワンピースやニット。それらは日本庭園に通じる慎み深く繊細な美しさが感じられ、ロングコートにも宿っていた。

2025AWシーズンの「マメ クロゴウチ」はお淑やかエレガンスはそのままに、これまでよりもシルエットが優雅になった印象を受けた。シンプルな美学を貫くオートクチュールブランドと同様に、縦のラインが美しく際立つ。ボリュームは抑えつつも贅沢な雰囲気を漂わせ、前衛的である同時にシック。複雑なデザインが複雑さを主張せず、洗練されたバランスで溶け込んでいた。

その象徴とも言えるのが、足首近くまで達するロングコート。ウール製と思われるテーラードタイプと、ダウン仕様のフード付きタイプの2種類が登場する。

ノッチドラペルのロングコートは、幅広く設計された上衿とラペルがラグジュアリーな雰囲気を醸し出す。ただし、それは華美ではなく、静かに気品を宿したデザイン。特に上衿はセーラーカラーのように肩に沿って寝かされ、ショルダーラインを優しく包み込む。

天幅は広めに取られ、首元の肌がわずかに覗くことで、ドレスにも匹敵する品格が生まれる。肩から袖口にかけてのラインも滑らかで、エレガントそのもの。袖はキモノスリーブのように見えるが、アームホール周辺のボリュームがすっきりしているため、内袖型のマチが入っている可能性がある。ボリュームを持たせつつも、体のラインを美しく魅せるスリーブに仕上がっている。

身頃のシルエットも気品に満ちていた。縦に細く長く描かれたラインは、近年のビッグシルエットとは一線を画す。緩やかにシェイプするウエストは、ロングコートの優雅さをいっそう引き立てた。胸元のVゾーンはやや深め。前合わせはセミダブルで、フロントボタンはひとつ。裾まで一直線に伸びる前端から裾にかけての直線的なラインがシャープなアクセントを加え、この鋭いカッティングが全体の柔らかさを引き締める。

ポケットはパッチやフラップが確認できず、脇線の縫い目を利用した仕様だろうか。ディテールを極限まで削ぎ落としたフォルムから立ち上がるのは、胸を徐々に高鳴らせていく上品さ。

カラーはブラックとバーガンディ。クラシックな色展開が、格別の美しさを静かに訴える。

ダウン製のロングコートは一転して芸術的

もうひとつのロングコートは、ダウン仕様のフード付きデザイン。だが、一般的なフードコートとはまったく異なる。むしろ、スカーフを巻いたような品のあるフードデザインで、どこか厳かな雰囲気すら漂い、カジュアルな要素は皆無だ。

その違いはフォルムに如実に現れていた。テーラードコートがシックな佇まいなら、フード付きのダウンコートは芸術的だ。身頃や袖には緩やかな曲線の切り替えが施され、緩やかな膨らみが随所に配されている。まるで布で形作られた彫刻を彷彿させる。それでいて、日常に溶け込むコートとしての機能も損なわれていない。

カラーはブラックとホワイト。アーティスティックなこのダウンコートを纏い、バッグを手に持ち、街中を歩く女性の姿を想像するだけで心が躍る。異なる素材とシルエットを持つ二つのロングコートだが、どちらもエレガンスを追求している。この美しさこそが、私が惹かれた理由に違いない。

「エレガント」という言葉は、ファッションにおいて最も多用される表現のひとつ。それがどんな服を指すのかと問われたら、「マメ クロゴウチ」のロングコートを見ればいい。あなたの瞳に映ったもの、それこそが「エレガント」だ。

〈了〉

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