断ち切る、重ねる、剥ぎ合わせる。「ジューン ジュナム(Joone Joonam)」は、技巧を凝らして服を装飾していく。手仕事の痕跡が感じられる服作りには、伝統的なクラフトの精神が息づく。では、このブランドが見せる「現代的なテクニック」とは何だろうか?
それは、服という「マテリアル」ではなく、服を構築する「プロセス」そのものに見て取れた。歴史ある服と素材のアセンブル、装飾の積み重ねといった手法の選び方に、ジューン ジュナムらしいモダンな感性が表れている。
ジーンズ、ドライバーズニット、ボーダートップス。そんな普遍のアイテムも、オランダ発のこのブランドのフィルターを通すことで、「シンプル」「ミニマル」「ベーシック」とは異なる表情に生まれ変わる。しかし、いずれのアイテムもシルエットやディテールは装飾的だが、全体のムードはむしろクリーン。構造と印象がズレることで生まれた美が物語るのは、現実と夢、そのはざまにジューン ジュナムは立つということ。
スリムなシルエットとクリーンなイメージが求められる今、ジューン ジュナムはあえて装飾性へと舵を切る。そこに感じられるのは、懐かしさに根ざした想像力。フードをかぶったモデルたちの姿は、アウトドアウェアのそれよりもむしろ、童話の世界に住むキャラクターのような、内省的な可愛さを纏っている。
ギンガムチェックのシャツとスカートには、赤や黄色の花、緑の葉や茎が刺繍され、ニットはブルー、オレンジ、イエロー、ブラック、ブラウン…多色の糸で豊かに編み上げられる。見慣れたアイテムが、見慣れない表情で語りかけてくる。現実のすぐ隣で咲く、ファッションのささやかな夢。その花は、チューリップに勝るとも劣らない美しさを湛えていた。



































Official Website:joonejoonam.nl
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