工芸的ニット技術で土着的なニュアンスを含んだスイムウェア。イメージが二転三転するニットウェアは、このブランドの背景が深く関わっているのだろう。2020年、セントラル・セント・マーティンズ(Central Saint Martins)を卒業した後に、セシリア・バサリ(Cecilia Basari)は母国インドネシアに帰国し、共同創業者ユーリー・スリ(Yuli Suri)とバリに「イサ ボールダー(Isa Boulder)」を設立した。
ウィメンズウェアはカジュアルなニット素材でありながら、色気と気品が匂うが、メンズウェアはストリートウェアの匂いを一気に強める。
イサ ボールダーのメンズウェアは、黒・茶・灰色と暗いトーンの色が主役で、イエローのように明るいはずの色もどこか暗さを帯びている。スタイルの印象は、クラフトな技術で作られた服が好きなスケーターを呼び起こす。ゆったりとした形のボーダーポロシャツとハーフパンツ。襟付きカーディガンと、フレアに広がり、アウトポケットが付いたハーフパンツ。ハーフスリーブのカットソーの下にボーダーの長袖トップスを重ね着。
アイテムも着こなしも、片手にスケートボードを持つ姿が浮かぶ。ただし、西洋のそれはと違う。アジアの、亜熱帯な香りが漂う。ストリートウェアに欠かせない、グラフィカルな要素を表現するのはロゴではない。ニットの上で表現された柄は、キャンバスに描かれた抽象画のようで、スポーティな装いに芸術性を加える。
通常は布帛で作られるパンツやブルゾンといったアイテムが、ニットでも作られている。イサ ボールダーはアウトポケットを多用したアイテムが多いため、ワークウェアのイメージが立ち上がっているが、ニット素材で作られたアイテムが多いために、泥臭さが和らいでいる。
アイテム構成はベーシックが軸で、服の輪郭自体はシンプルにも関わらず、色・柄・素材の複雑なニュアンスがスタイルのイメージを普遍の服から遠ざけている。
洗練やモダンといった価値とは違う価値を持つストリートウェア。それがイサ ボールダーのメンズウェア。クリーンな服では物足りない。着たいのは癖と淀み。その欲に応えるのが、イサ ボールダーのメンズウェアだ。
Official Website:isaboulder.com
Instagram:@isaboulder